35.7%は誰を対象にした数字?

この数字は、65歳以上で賃貸住宅の部屋探しをした経験がある人を対象にしたR65の2020年調査に基づくものです。高齢者全体の約3人に1人が断られる、という意味ではありません。

一方、実際に住み替えを必要とする高齢者にとって、入居を断られる経験が起きていることは重要です。数字の対象を正しく理解した上で、住まいの選択肢を考える必要があります。

なぜ貸主は不安を感じるのか

貸主や管理会社には、入居者が亡くなった後の契約手続き、残置物の処分、原状回復、相続人の確認などへの不安があります。国土交通省資料でも、こうした実務上の負担が課題として整理されています。

孤独死、空室、原状回復といった言葉だけで、すべての高齢者を同じリスクとして扱うことは適切ではありません。個々の入居者の状況と、万一のときに備える仕組みを分けて考えることが大切です。

保証人の有無だけで決まる話ではない

身元保証や連帯保証人は契約時に確認されることがありますが、それだけで入居可否を説明できるわけではありません。物件、地域、管理会社、家賃、見守りや保証の仕組みなど、条件はさまざまです。

『保証人がいないから必ず断られる』と決めつけず、居住支援法人、自治体の相談窓口、保証会社、見守りサービスなど、地域にある選択肢を確認することが必要です。

見守り・保証・死後事務を組み合わせる

高齢者が安心して借りられ、貸主も不安を減らせるようにするには、一つのサービスだけでは足りない場合があります。見守り、家賃債務保証、残置物処理や死後事務に関する取り決めなどを、契約前に整理する考え方があります。

どの仕組みが利用できるか、費用は誰が負担するか、契約内容はどうなるかは地域や事業者で異なります。分からないまま署名せず、説明を受けることが重要です。

高齢になっても住み替えられる社会へ

仕事、家族、健康、家賃、住まいの広さなど、年齢を重ねてから住み替えが必要になる理由はさまざまです。元気で家賃を払える人まで、年齢だけで選択肢が狭くなるなら、暮らしの基盤に関わる問題になります。

貸主だけ、借りる人だけへ負担を寄せるのではなく、居住支援や契約の仕組みで不安を減らせるかが問われています。

まとめ

高齢者の賃貸住宅の課題は、単に『高齢者を受け入れるべきか』という話ではありません。部屋探し経験者の一部が入居を断られる一方、貸主側には残置物、原状回復、契約手続きなど具体的な不安があります。

見守り、保証、居住支援、死後事務などを組み合わせ、年齢だけで住み替えが難しくならない仕組みを整えることが必要です。住み替えを考え始めたら、早めに地域の相談窓口や事業者へ相談するのがよさそうです。